VOL.16

シニア犬に多い病気「慢性腎不全」

公開日:2012.02.17  / 最終更新日:2023.05.25

1年で最も寒い季節ですね。寒いと冷たいお水を飲むのを嫌がるコもいます。その場合ぬるま湯にしてあげると飲むかもしれません。

慢性腎不全ってどんな病気

また、冬場はいつも飲水量が減るのになんだかいつもよりお水をよく飲んでいるかも・・・、と思ったことはありませんか?それはシニア犬にとって病気のサインかもしれません。飲水量が増える病気はいくつかありますが、今回はそのうちのひとつ「慢性腎不全」についてお話します。

腎臓の主な働きは、体に不必要になった老廃物や毒素を尿と一緒に排泄することです。また、骨の代謝や造血水分バランスの調節など体を維持するための重要な役目も果たしています。

腎臓の機能が低下すると(=腎不全)、老廃物や毒素が十分に排泄されなくなり全身に毒素がまわってしまいます(=尿毒症)。主な初期症状は、元気・食欲が低下し水をよく飲むようになり薄い尿を多量にするようになります。

進行すると、
・体重減少
・脱水
・貧血
・嘔吐
・下痢や便秘
などの症状が現れます。

末期になると、けいれんなどの神経症状が出ることもあります。

やはり早期発見が大事

シニア犬・老犬に多く見られる慢性腎不全は、完治することは難しいため早期発見が重要です。血液検査で腎臓が悪いとわかった時には、すでに腎臓の約80%が働いていない状態なのです。

どうしたら早期発見ができるの!?

それは尿検査で尿の比重(オシッコの濃さ)を測る検査をすることで、血液検査よりも早く腎機能の低下をキャッチできます。また超音波検査で、腎臓の形態・大きさを定期的に調べるのも大切です。

もし腎不全になってしまったら

治療は、たんぱく質を制限した適切な食事管理と薬によって進行を抑えることができます。それでも症状が悪化してきてしまった場合には点滴治療をします。また人間と同じように透析による治療を行っている病院もあります。

シニア犬になったら、飲水量と尿量を時々チェックし、記録しておきましょう。定期的な検査が病気の早期発見の基本です。「元気だから大丈夫」ではなく、安心のためと思って、定期的に検診を受けましょう!

それではハッピードッグライフ☆

キュティア老犬クリニック
獣医師 佐々木 彩子
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