VOL.19

シニア犬の予防医療について考えよう その2フィラリア予防について~

公開日:2012.05.19

だいぶ暖かくなり、そろそろ蚊を見かけた方も多いのではないでしょうか。

今回はフィラリア予防についての素朴な疑問についてお話していきたいと思います。

シニア犬・老犬にとってもフィラリア予防は大切です。

ところで
犬のフィラリア予防を行う前に、
病院でフィラリア感染の有無を確認してからお薬を飲ませるのはなぜでしょうか?

それは、投薬もれがあったり、最終投薬日が早すぎた場合など、
万が一フィラリアに感染している状態で予防薬を飲ませると大変危険だからです。

犬フィラリア成虫が産む子虫(ミクロフィラリア)が
犬の体内にいることを知らずに予防薬を飲ませた場合,

一度に大量のミクロフィラリアが死滅し
心臓の血管に詰まりショック症状を起こし
最悪の場合は死に至ります。

そのため毎年しっかり予防を行っていても、検査をしてから飲ませるようお願いしています。

また、キュティア老犬クリニックではフィラリア検査のために採血を行うので、
同時に血液生化学検査で内臓のチェックも行うことをおすすめしています。

年に一度健康チェックを行うのによい機会だからです。

さて、検査をしていざ投薬!でも投薬時期はいつからいつまでが正しいの?

これは地域によって異なります。
冬でも暖かい地域は長く飲ませる必要があります。

目安は蚊が見られ始めて
1ヶ月後から最後に蚊を見てから1ヶ月後が投薬期間となります。

では、なぜ1ヶ月後なのでしょうか?

毎月1回飲ませるのだからお薬が1ヶ月効いている
と思われている方もいると思いますが、実はそうではありません。

犬フィラリア症の予防薬は、
駆除効果が持続するのではなく、
投薬前1ヶ月間に感染したフィラリアの幼虫を
心臓に寄生してしまう前に(成虫になる前に)駆除するものなのです。

フィラリアの幼虫は数回脱皮を繰り返して成虫になります。
予防薬は全ての段階の幼虫を100%駆除してくれるのではなく、
ある特定の時期の幼虫を駆除します。

つまり、毎月投薬していても、実は一部の幼虫は完全に駆除できていないのです。

しかし、その1ヶ月後に、
生き残った幼虫は予防薬が100%効果を発揮する段階に成長して、
1ヶ月後の投薬で駆除することができるのです。

これが毎月あるいは蚊が活動を停止してから1ヶ月後まで投薬をする理由なのです。

少し難しいお話でしたが、
毎月定期的に駆虫することでフィラリア症の発症を予防することができるのです。

「もうシニア犬・老犬だしもう予防しなくてもいいわ」と言わず、
予防さえすれば防げる病気です。しっかりと予防してあげましょう!

それではハッピードッグライフ☆

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