Vol.88

犬の車いすでリハビリスイッチオン!

公開日:2018.02.23  / 最終更新日:2023.05.06

車いすに乗るフレンチブル

キュティアでマコモと同じくらいおススメしている「犬の車いす」。ここ数年で大分その存在が認知されるようになってきました。しかし飼い主さんにとってはまだまだ気になる事もあるようです。

車いすというよりむしろ「歩行器」

車いすと言うと、
「もう歩けなくなってしまった時のもの」
「犬の車いすに頼りきりになってしまったら歩けなくなる気がする」
というイメージを持たれることが多いようです。

確かに人間の場合ですと車いすに座り込んで、足を全く使うことなく手の力だけで移動を行うため、腰から下の筋肉はどんどん衰えていきます。しかし犬の車いすの場合は、体幹を支えるのみで四肢すべてを動かしての歩行ができます。

どちらかというと人間の「歩行器」のような役割を果たしています。そのため歩行の補助だけでなく実は、リハビリとしての効果も持ち合わせているのです。

フレンチブルドックが効果を証明

今回はそんな犬の車いすの「リハビリ」効果をあらためて知らしめてくれた福ちゃんを紹介いたします。

福ちゃんは今月で12歳になったばかりのフレンチブルドックの女の子。昨年末、突然けいれん発作をおこしたためMRI検査を行ったところ脳腫瘍が発覚。今年1月に腫瘍を摘出したのですが手術の影響から右半身が麻痺してしまいました。

かかりつけの先生からは
「前足は不全麻痺で少し感覚が残っているからもしかすると回復の見込みがあるかもしれない」
と言われたそうです。

そこで飼い主さんは
「少しでも早くリハビリの方法が知りたい」と退院直後にキュティアに来院されました。

カウンセリングスペースで会った福ちゃんは、思うように動けないことでストレスが溜まってしまいうつろで真っ赤な眼をしていました。また下半身が動かせず力も入らないことから何日も便秘で苦しんでいました。

まさかの結果に皆で驚く!

ちょうどレンタル用の車いすがあったため、カウンセリングの間に細かい調整してとりあえず乗せてみました。すると何と、目がらんらんと輝き大興奮でクリニック内を歩き始めたのです。福ちゃんの前向きな意欲と表情の変わりように飼い主さんもキュティアスタッフ一同もびっくり&大喜び☆

腫瘍の手術後の元気なフレンチブル

そして、もっとスタッフを驚かせたのは1週間後の再診の時。なんと福ちゃんはしっかりと自分の足で立ちスタスタと歩いてクリニックに入ってきたのです。飼い主さんに話を伺うと、クリニックと違いお家の床では車いすの車輪がうまく動かなかったそうです。

でも、キュティアでの一件でやる気スイッチが入り自信をつけた福ちゃんは、あっさり車いすに見切りをつけ自力で歩きだしたそうです。そして車いすはマッサージ台になっているとのこと。

どのみち使うなら早めに

2月に入り毎週全身麻酔をかけての放射線治療が始まったため、麻酔とストレスによる身体のこわばりをとるために、整体の通院を続けている福ちゃん。初めての時とは違いフレンチブルドックらしいお茶目な笑顔で来院してくれています。

そんなリハビリにも大活躍の犬の車いす。歩行の補助として使用する場合でも、完全に自力で歩けなくなる前に使用を開始した方が乗りこなしがスムーズになる、など意外な使い方が色々あります。

少しでも気になるようでしたらお気軽にお問い合わせください。

それではハッピードッグライフ♪

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キュティア老犬クリニック
  獣医師 横山恵理
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