Vol.66

糖尿病のトイプードルを鍼灸治療-頑張っている犬たちをご紹介-

公開日:2016.04.18

何かと生活に変化の多い春。

我が家は
幼稚園の入園と小学校の入学が重なり
毎日のように書類を書いたり
持ち物に名前を書いたりと
あわただしい毎日・・・。

お互いにようやく新しい生活に
少しずつ慣れてきました。

さて今月は糖尿病と闘っている
わんちゃんのご紹介です。

pic_momo_2

11歳のトイ・プードルのモモちゃん女のコ。

2015年1月から
お水をたくさん飲んで
オシッコもたくさんする
多飲多尿という症状が突然現れました。

検査をしたところ副腎が過剰に
ステロイドホルモンを出してしまう
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
であることがわかり
お薬を飲んで治療を始めました。

ところが5月の初旬に寝ながら
おもらしをしてしまいました。

今までそんなことはなかったので
おかしいと思った飼い主さんは
すぐに病院へ行き検査をしました。

すると血糖値がものすごく高く
糖尿病も患っていたのです。

モモちゃんがキュティアに来たのは
その10日後のことでした。

モモちゃんは少しぽっちゃり体型で
身体に「湿」がたまっている様子でした。

過去のお話をお伺いすると
時々軟便になったり
嘔吐をしたりということが
以前からあったようです。

これは「脾」(西洋医学で言うところの胃腸)
が弱っているということになります。

また生まれつき
右膝が弱く
副腎皮質機能亢進症
おもらしをするといった症状から
「腎」の弱りもあることがわかります。

中医学では膵臓という概念はありません。

では糖尿病はどのように
捉えたらよいのでしょうか。

中医学では病名治療はしません。

なので糖尿病という病気が
どのような体質によって起こるのか
またどのような体質になるのか
を考えます。

糖尿病でみられる
多飲多尿
多食症状を
中医学では消渇といいます。

消渇はまず肺の熱によって喉が渇き
その熱が胃に伝わり
空腹感をもたらすとともに
お水をたくさん飲むようになります。

そしてそれが腎へ行くと
多飲多尿となり
尿漏れを起こしたり
白内障になったりします。

モモちゃんの場合は前述のように
もともと「脾」と「腎」の問題があります。

また糖尿病では体がどんどん
酸性体質になっていきますので
それらの調節を鍼灸と漢方で行います。

猫ちゃんの糖尿病の場合
鍼灸と漢方薬による治療で
インシュリン注射が必要なくなるほど
回復することもありますが

わんちゃんの場合は
インシュリン注射をなくすのは
難しいようです。

ですが併せて治療していくことで
血糖値も安定するようになり
糖尿病によって引き起こされる
白内障や腎不全などのリスクを
抑えることができます。

モモちゃんは最初の3か月は1週間に
1度のペースで治療に来てくれました。

鍼灸治療に加えて
腎の漢方薬とマコモを飲んでいます。

マコモも酸性体質の改善に
とてもいいのです。

治療していくうちに
段々とおもらしの回数が減っていき
飲水量も減っていきました。

そして治療開始から1ヶ月半程度で
おもらしすることはなくなり
血糖値も安定しました。

その後も2週間に1度鍼灸治療をしています。

秋冬や季節の変わり目に
少し咳をするようになりましたが
鍼灸をやると治まり

また2週間たつと咳をする
ようになるということで
2週に1度の治療ペースが合ってるんだねー
などと飼い主さんと話しています。

糖尿病の治療に来ているのですが、
足腰もとてもしっかりとして
すごく元気ですとおっしゃってくれています。

昨日も元気に治療に来てくれました♪

鍼灸治療は
「この病気を治す」のではなく
全身の治療ができるのが魅力の一つですね!

それではハッピードッグライフ☆

  • 獣医師コラムトップページへ