本当に進行性脊髄軟化症?のダックス

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皆さま こんにちは
獣医師の横山恵理です。

暑い日が続き
飼い主さん達から海や湖など
愛犬と一緒に水遊びに出かけた
お話を耳にするようになりました。

今までは
とても楽しそうでうらやましい
と思いつつも

「うちの犬達は泳がないんだよね~」

とすっかりあきらめていたのですが

飼い主さんの一人から
ライフジャケットを装着して
少しづつ泳ぐ練習をさせていけばよい
と教えていただき

さっそく2匹分の
ライフジャケットを注文しました。

獣医師はあくまで
「動物のお医者さん」。

今回のライフジャケットのような
生活の知恵や介護での工夫は
まだまだ飼い主さんに
教えていただくことも多く
大変ありがたく思っております。

さて今回は
「進行性脊髄軟化症」に
かかりながらも頑張っている
7歳のミニチュアダックスの女の子
モンブランちゃんを紹介します。

進行性脊髄軟化症は原因不明の難病。

重症度の高い椎間板ヘルニアの
1割程に発症するといわれています。

脊髄の神経細胞が
末端から壊死して行き
ほとんどの犬が1週間以内に
死亡してしまうのです。

モンブランちゃんは1ヵ月近く
生死の境をさまよい

下半身は完全に麻痺してしまったものの
なんとか生き延びました。

そして
発症から半年ほどたった去年の5月
まだまだモンブランちゃんが
歩けるようになることをあきらめず
何かできることはないか

と考えた飼い主さんが
キュティアを探し出して
初めて来院されました。

そのときのモンブランちゃんは
顔つきはぼんやりとしているのに
目は真っ赤で
手を触られるのを嫌がり
後ろ足は少しの刺激で前方に
跳ね上がってしまうし
背中はどこを触っても痛がるし・・・

といった感じで

小さな体の中に
ストレスが一杯詰まってしまっている
様子でした。

人間だってそうですが
犬だって自分の意志で
立ったり移動できない不自由が続くと
イライラしてストレスを
ため込んでしまします。

いくら鍼灸治療で
気の巡りを整えるよう導いても
大きなストレスを抱えたままでは
治療効果を発揮することはできません。

そこで
鍼灸治療と並行して
車いすの使用を強くお勧めしました。

大抵の飼い主さんと同様
モンブランちゃんの飼い主さんも

「車いすなんて歩けないことを認め
 あきらめることになってしまう」

と難色を示しましたが

歩きながらバランスをとるために
腰や後ろ足を動かすことが
リハビリにつながること等説得し

ピンク色のかわいい車いすを
作っていただくことができました。

そのおかげで
まだまだ若いモンブランちゃんは
あっという間に車いすを使いこなし

家や飼い主さんの職場を
自由に走り回るようになりました。

ニコニコと明るい顔つきになり
自信を取り戻したようすでした。

そして
抱き上げたとき等に尻尾を振ったり
車いすで歩くときに
後ろ足を動かすようになったのです!

その上さらに
診察台の上で立たせると
しばらくそのままでいる
ようになりました。

一度死滅してしまった神経細胞は
元には戻らないので

私も他の獣医師も

「本当に脊髄軟化症だったのかな?」

と疑うほどの
回復ぶりを見せてくれました。

2回出産を経験しているためか
とても母性本能が強いモンブランちゃん

子犬や子猫の存在を
感じるとすぐに偽妊娠してしまい
そのたびに体調が不安定になってしまい
後ろ足の調子もいったりきたり・・・
といった時もありますが

熱心で前向きな飼い主さんの後押しで
とても楽しく暮らせるようになりました。

モンブランちゃんはまた
てんかん持ちで
3年連続お正月シーズンに
ひどい発作を起こしていたのですが
今年は発作を起こさず
元気にお正月を迎えることが
できたそうです。

先日
偶然かもしれないけど
自力で立ち上がったという
モンブランちゃん。

1年以上生きている
というだけでも奇跡に近いのに

まだまだ私たちを
おどろかせてくれそうです。

それではハッピードッグライフ♪

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