Vol.71

犬の腫瘍手術を鍼灸治療でケア-頑張っている犬たちをご紹介-

公開日:2016.09.18  / 最終更新日:2020.06.17

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こんにちは 獣医師の横山です。

子供たちの夏休みも終わり
ようやく生活のリズムが戻ってきた
と思ったら来週には秋分の日

スーパーには秋刀魚や栗がならび
季節はもうすっかり秋のようです。

キュティアに来院されている
わんちゃん達にも

すっかり換毛が終わっていたり
呼吸器症状が出始めたり

と秋の体調変化がはっきりと
でてきています。

夏の間1日のほとんどを空調の
行き届いた室内で過ごしていたはずなのに
不思議なものですね。

さて今月は久しぶりに
キュティアに鍼灸治療・整体に
通院されているわんちゃんのご紹介です。

10才のMIXオレオ君が
初めてキュティアを訪れたのは今年の4月。

2歳の時に左後脚の靭帯を断裂しており
この冬から痛みが再発しました。

お散歩を嫌がるようになり
痛み止めの服用をつづけているけど
ずっと薬を飲むのも不安だし

それ以外の治療方法はないでしょうか
というご相談でした。

保護犬で臆病なところがあった
ということもあり

恐怖の感情をつかさどる「腎」
が弱りやすかった上に

加齢による下半身の衰えが加わっての
症状と考え

腎をおぎなう漢方薬と鍼灸治療・整体を
はじめました。

その後2か月ほどは1~2週間に1度の
通院で調子も安定していたのですが
また突然左後肢を痛がるようになり

かかりつけの病院で受診したところ
足の付け根に悪性の腫瘍があること
が判明しました。

オレオ君人間の手のひら大のものでしたら
毛の中に完全に隠れてしまうほど
毛深かったのと
痛みがある期間が続いたことで

左後肢周辺を触るととても怒って
暴れるようになっていたために
腫瘍の発見が遅れ
腹腔のリンパ節へ転移も認められました。

飼い主さんは突然の話に困惑していたため
ゆっくりとお話を伺ってから
ご相談させていただいた結果

・高度医療センターですすめられた
 断脚手術は行う(手術前と退院後に
 鍼灸治療でのフォローを行う)

・抗がん剤治療はオレオ君の体調をみて考える

・漢方薬は人間で癌転移抑制作用が認められ
 手術などによる体力消耗をおぎなうことの
 できるものに変更する。

・癌の血管造成抑制作用のあるβグルカンを
 豊富に含む「マコモ」を頻回摂取する

・手術後は断脚により負担のかかる残りの
 足をケアするため整体の時間をしっかりとる
(鍼灸の頻度を減らしその分整体にあてる)

という方針で治療を
進めていくことになりました。

飼い主さんの頑張りもあって
術後の経過が良かったため

1度は抗がん剤の投与を行ったのですが
転移巣の大きさに変化が見られなかったので
その後の西洋医学的治療はインターフェロン
投与のみとなりました。

手術から2か月ほど経過すると
足の痛みから解放され
体調も向上したことで
近所の人たちも驚かれるほど若返って
はつらつと歩き回るようになったオレオ君。

この夏には軽井沢に滞在し
たっぷりと遊んできたそうです。

オレオ君のほかにも癌を患って

「あと1・2か月持つかどうか」と

かかりつけの先生にいわれたはずなのに
なんだか調子よく通院を続けている
わんちゃん達が何匹もいます。

オレオ君とは違って
東洋医学のみで対応している
わんちゃんもいます。

またの機会にご紹介させていただきますね。

それではハッピードッグライフ♪

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