Vol.77

東洋医学で腫瘍に向いあう柴犬

公開日:2017.03.21  / 最終更新日:2020.06.17

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こんにちは。
獣医師の横山恵理です。

季節は春
ベランダで育てている
天台烏薬(てんだいうやく)や
ローズマリーも花盛り。

言わなければそれとは気づかない
ような小さな花ですが
日々世話をしている身としては
やはりうれしいもの。

水やりや洗濯物を干すたびに
ほっこりとした気分にさせてくれています。

天台烏薬はあまり知られてはいませんが
秦の始皇帝の命で日本にやってきた徐福が
不老不死の薬として伝えたとされていて
理気活血
補腎陽
止痛
抗がん
などの作用があり
お茶等になって出回っています。

我が家でも
ハト麦茶に菊花や陳皮とともに加え
薬膳茶にしています。

その他に
棗(なつめ)やクコの実
トウモロコシの髭
ジャスミン茶
といったものを季節や体調に合わせて
加えてたくさん作り
家族みんなで飲んでいます。

ローズマリーは普段
料理や石鹸にしか使わないのですが

せっかくなので
マコモクリームのベースになる
カレンデュラオイルを作っている瓶
にも加えてみました。

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春の間にマコモクリームをご購入されると
いつもよりほんの少しさわやかな香りに
なっているかも!?

さて
今回は東洋医学のみで
腫瘍に向かいあっているわんちゃんのご紹介です。

茶々ちゃんは12歳のおっとりとした柴犬。

7歳までは月に10日以上発作を起こし続けた
ほど強い癲癇(てんかん)を持ちながらも
マイペースで暮らしていました。

しかし2016年の春になって体調が悪化し
砂利の上もうまく歩けなくなったことから
6月に来院され治療を始めました。

鍼灸治療で公園のお散歩も楽しめる
ようになっていたと喜んでいたのですが

8月に入ったころから下血がはじまり
かかりつけ医の触診で直腸に
悪性と疑われる腫瘍が確認されました。

てんかんのことを考えると手術もできず
抗がん剤も不安ということで
鍼灸治療に加えて
かかりつけ医での西洋医学の薬で
対応を始めました。

それでも体調がじわじわと
悪化していってしまい
11月には腫瘍が大きくなって
閉塞を起こしたうえに
寝たきりの状態になってしまいました。

そこで飼い主さまも色々と覚悟を決め
腫瘍への対応も東洋医学の
往診のみに切り替えることにしました。

ところが2回目の往診後から便が出始め
自分でごはんを食べたり
歩いたりできるようになってきたのです☆

下血も止まり
年末からはゆっくりですが外へお散歩に
行けるようにもなりました。

今もまだまだ腸の状態が完全ではないので
便が少しづつ出続けてはいるものの
持ち前のマイペースっぷりを発揮して
のんびりと暮らせるようになりました。

時折デイケアでお預かりをすることも
あるのですが

ほんわかとしたやさしい空気を作って
スタッフを癒してくれています。

それではハッピードッグライフ♪

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