ブリーディングと東洋医学

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皆さまこんにちは。
獣医師の横山です。

この夏
イギリスの研究者が
イギリスではジャーマンシェパードの
2頭に1頭が歩行障害や癌などで
安楽死させられている

という研究結果を発表した
というニュースを目にしました。

ジャーマンシェパードの中でも
ショータイプといわれる系統で好まれる

足が短くて
お尻が下がっている
形質を強化し続けた結果とのこと。

もともと純血種は身体が弱い
といわれてきましたが

ここ最近は流行りの形態を
追求し過ぎた結果

よりその傾向が顕著になってきている
ように見受けられます。

猫では
スコティッシュフォールドと
マンチカンの交配で
全身の骨や軟骨が変形してしまい

前足はグローブのように肥大し
背骨はすべてリウマチで
どこを触っても苦し気に鳴く・・・

かける言葉を失うような状態の子
に実際に出会ったこともあります。

こういったブリーディングなどによる
先天的な障害によるトラブルを

東洋医学(中医学)では
五臓の中の「腎」が弱いととらえます。

「腎」の持つ大切な役目の一つに
「先天の精の貯蔵」があります。

東洋医学では
生命活動の源となるエネルギーには

食べ物から得る
「水穀の精」と
生まれるときに父母から得る
「先天の精」の
2種類があるとされています。

そのうちの「先天の精」を
2つの腎臓の間にある「命門」という
ツボに貯蔵しておくと考えているのです。

また
まだ数年間ですが東洋医学の立場で
様々な犬の治療を重ねていくうちに

身体を作っていく大切な成長期に
劣悪な環境に置かれ
十分な栄養(=水穀の精)
を得られない場合

先天の精を消費し
削っていくことで
命をつないでいるのではないか

と感じる子に出会うことが
たびたびあります。

さまざまな要因で「先天の精」が
不足し「腎」が弱っている犬は

たとえ5・6才のまだ若いコであっても
10才を過ぎたシニア犬のような
鍼灸治療と漢方薬の処方が
必要になることもあります。

そういった動物達に接するたびに

動物をぬいぐるみのように
扱うペット産業や
それを助長してしまう
消費者の意識について

何とも言えない悔しく
やるせない感情に襲われてしまいます。

しかし

先天的なトラブルで
西洋医学的に様々な病気を発症し
常に数種類の薬を服用している
ような場合でも

鍼灸治療を続けることで
体調を安定しやすくし
生活の質を向上していくことは可能です。

すこしでも多くの
動物と飼い主さんの笑顔を取り戻すべく
より精進していかなければなりませんね。

それではハッピードッグライフ♪

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