Vol.90

春は要注意!犬のてんかん発作

公開日:2018.04.18  / 最終更新日:2023.05.06
脳腫瘍の手術をしたフレンチブルドック

立春は体調の変わり目

毎年2月の立春を過ぎたら「肝の弱る季節ですよ~」とお話してきました。飼い主さんの中にも普段あまり風邪をひかないのに、

・2週間位体調がすぐれなかったり
・胃腸の調子が悪く食欲がなくなったり
・下痢が続いたりなんか疲れている

などという声を耳にします。

我が家の猫3匹も吐いたり、下痢をしたり、が続いていてせっせとマコモと漢方を飲ませてようやく落ち着いてきました。

「肝」の弱り=「脾」(胃腸)の弱りでもあります。そして胃腸が弱る=食べ物から、元気の「気」を作れない、ということになります。今年は人も犬も例年よりその症状が強く出ているように感じます。おそらく天候によるものだと思います。

てんかん発作のトイプードル

季節外れの雪が降った春分の日のあとの3月24日に、てんかん発作をおこしたコが3匹もいました。

その中の1匹トイプードルのカイくんは鍼灸治療と漢方薬の内服で、ずっと調子が良かったのですが発作が起きてしまいました。原因は元気の「気」を作る「脾」の弱り。「脾」が弱ると体に湿がたまってしまいます。湿が頭に上がると頭の気が乱れ五官(目・耳・鼻)がふさがれてしまい発作が起きるのです。

そのためカイくんは一時的に、「肝」のめぐりをよくする漢方から、「脾」のめぐりをよくする漢方に変更しました。

フレンチブルドックにもてんかん発作が

てんかん発作を起こしても元気なフレブル

そしてもう1匹は2月のコラムにも登場したフレンチブルドックの福ちゃん。

手術前は1日に何回も発作を起こすほど重症でしたが、脳腫瘍の摘出後は発作なく過ごしていました。整体とリハビリでようやく足も動かせるようになってきていたところで、またまさかの発作・・・。てんかん発作を起こしてから再び足の調子も悪くなってしまいました。

そこで整体だけでなく鍼灸治療も始めることにしました。

好きなことをいっぱいさせる

15時間にもおよぶ手術に耐え、その後の放射線治療も頑張った福ちゃん。身体は相当疲れ、ストレスもたまっていたことでしょう。ストレスがかかると「肝」のめぐりが悪くなり気が頭へ上がってしまいます。

福ちゃんの場合、
「肝」のお母さんである
「腎」も弱っていたため
「気」をおろしてあげる
ことができなかったのでしょう。

鍼灸治療と漢方薬を飲み始めてからは発作もなく、足の調子もとてもよくなりました。

「福ちゃんいっぱい頑張ってきたから、福ちゃんの好きなことをいっぱいやらせてあげて、発散させてあげてください」

とお話したら

「この前勇気を出して少し遠くの公園までお出かけしたら、小走りしたんです!!」

と、うれしそうに公園を走る福ちゃんの動画を見せてくださいました! 来院当初と顔つきも変わって今は目がとてもイキイキとしています。

次は梅雨の季節

暦の上ではもう春は終わりますがしばらくすると梅雨がやってきます。梅雨は湿邪によって「脾」が弱りやすいのと、前線によって「気」が頭に上がりやすくなります。

またてんかん発作に注意が必要になる時期となりますので、引き続きしっかりケアしていきましょう。

それではハッピードッグライフ♪

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キュティア老犬クリニック
獣医師 佐々木 彩子
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