漢方薬

漢方薬の犬へのはたらき

キュティア老犬クリニックでは日本薬局方に基づく漢方薬を処方しています。約40種類ほどの漢方薬の中からワンちゃん個々の状態にあった漢方薬を積極的に処方しています。

犬にも漢方薬?!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

動物に処方される薬は、狂犬病や混合ワクチンなどを除いた多くは人体薬です。漢方薬もおなじように考えることができます。

化学にもとづき開発・製造された薬は病気の原因に直線的にピンポイントで作用します。
一方、漢方薬は体が持つ自然治癒力に働きかけて効果をもたらします。すぐに効果が現れる犬もいれば、時間の経過とともに効果がみられる犬もいます。

漢方薬は薬として効果を持つ草や木、動物・鉱物などの自然界にある「生薬」を通常は組み合わせて作ります。

たとえば下痢の「生薬」にはゲンノウショウコなどは昔から知られています。また、生薬は食品としても私たちの食卓でつかわれています。ショウガは漢方では生姜(しょうきょう)と呼び、胃腸の調子を整えたり体をあたためてくれるとされています。

漢方薬はそれらの生薬を組み合わせて作ります。ただし何でも組み合わせればよいというわけではありません。生薬それぞれの特長を生かしながら調合されるのです。

例えば「風邪のひきはじめや肩こりに葛根湯。」
に代表されるように、漢方薬の長い歴史の中ではさまざまな生薬の組み合わせから生まれた、いくつもの知られた漢方薬が存在しています。

葛根湯は主薬の「葛根」をはじめ7種類の生薬の組み合わせからできています。

・葛根(かっこん)・・・・風寒をちらし鎮痛や解熱をうながします
・麻黄(まおう)・・・・・咳や荒い呼吸を鎮める効果があります
・桂皮(けいひ)・・・・・体を芯からあたためめぐりをよくします
・芍薬(しゃくやく)・・・痛みを抑えるはたらきをします
・甘草(かんぞう)・・・・炎症やアレルギー症状を緩和させてくれます
・生姜(しょうきょう)・・発汗・発散作用をもっています
・大棗(たいそう)・・・これら生薬のぶつかり合いを抑える調整役です

このように漢方薬には数種類から多い場合は20種類以上の生薬が調合されています。

一つひとつの生薬に含まれている成分が相互助長したり抑制しながら、漢方薬としてのハーモニーを作り出しているのです。それゆえに病気の原因に一点特化した現代医学の薬とくらべると、体全体にはたらきかけバランスをとりながら体が持つ自然治癒力を高めてくれるのです。

シニア犬・老犬の世代になると全体的に内臓機能も低下しはじめます。一つの病気が他の病気を引き起こしていたりするケースも少なくありません。

中国医学の基本的な考え方に「五行説」があります。五行説では「肝」・「心」・「脾」・「肺」・「腎」の 五臓が互いに助けあいながら体全体のバランスをとっている、と考えられています。

また、漢方では体の調子を診るときに、体質を「虚(きょ)」「実(じつ)」の二つ分けて考えます。「虚」は体のはたらきが弱っている状態。「実」は体が元気なのですが時には活発すぎる状態です。

キュティア老犬クリニックではワンちゃんおのおのを五行や虚実を診ながら漢方薬を処方します。ですので同じような症状をかかえていてもその子その子により漢方薬の処方がかわってきます。

漢方薬はその性質と効果からもシニア犬・老犬の体のバランスを整えながら、その子その子が持つ自然治癒力を引き出し、体を元気にしてゆく治療に適しているといえましょう。




獣医師からのワンポイント

近代医学の薬を服用してもなかなか効果が出なかったのに、漢方薬を服用してみたら症状が改善されたケースも多々あります。動物が持つ自然治癒力と、それを引き出す伝統医学には頭が下がります。そしてその奥の深さから日々気づき学んでいます。

一般診療について

キュティア老犬クリニックでは混合ワクチン、狂犬病予防ワクチン、フィラリア予防などの予防医療も行っております。また一般的な薬の処方もいたします。

ただし、シニア犬・老犬のロコモーティブシンドローム(運動器症候群)の予防・改善や、中医学(東洋医学)にもとづいた鍼灸治療、漢方処方などの、動物の体にやさしい医療を専門にしています。緊急時における救命処置や、手術・入院に対応する設備は用意しておりませんのでご了承ください。