シニア犬・老犬の介護

老犬介護は長期間にわたるかもしれません。飼い主様の負担も考えご家族と相談しながら 無理のないプランとライフパターンを作りましょう。そして何よりも飼い主様自身が明るい気持ちで老犬介護の生活を楽しむことが、残された愛犬とのかけがえのない時間となるでしょう。

老犬介護はその子にあった方法で

近年、犬の平均寿命は延びてきています。それとともに介護が必要な老犬も増えてきています。

はじめて老犬介護するにあたっては、どのような対応をすればよいのか困惑してしまう飼い主様も多いのではないのでしょうか。飼主さまが老犬介護のため寝不足になったり、疲れたり、ストレスからノイローゼになったりすることもあるようです。

しかし一方で、老犬介護を通じて今までとは違った愛犬の一面を発見し感動することがあります。

飼い主さまが明るく楽し気持ちで愛犬に接してあげることで、愛犬もきっとその気持ちに応えてくれ、ますます絆を深めることができるでしょう。

それでは、キュティア老犬クリニックの経験をもとに生活シーンごとの老犬介護のポイントを考えてみましょう。

生活シーンごとの老犬介護のポイント

老犬介護では主に
・食事の介護
・排尿や排泄の介護
・シャンプーの介護
・歩行の介護
といったことが必要となってきます。

また、認知症・痴呆に伴う
・夜鳴き
・徘徊
・昼夜逆転
・異常な食欲
などに悩まされる飼い主様も多いのが実情です。

実際にどのような介護が必要となってくるかは、その子の状態や飼い主様の状況によって変わってきます。
何よりも大切なことは飼い主さんも無理せず、老犬介護の生活を楽しく送ることです。

【食事の介護】

老犬になると毎日の食事をどのように与えるかが大切になります。

嗜好性も変化しますし、食べ物を噛む力(咀嚼力)や消化器官が衰えてきます。
フードを食べやすい小粒や半生タイプに変えてあげたり、水でふやかしてあげたりすることで噛む力が弱ってきてもご飯が食べやすくなるでしょう。

また、少し温めて香りをたてたり、とろみをつけたスープをかけて口当たりをよくしてあげることで食欲も増し、楽しい食事の介護が行えることでしょう。
舌の動きが鈍くなりうまく呑みこめないときには、すりつぶしたりミキサーにかけたりして流動食にして与えます。固さが自由に調整できる栄養価の高い介護食も販売されています。

流動食を与える際はシリンジを使います。犬歯の脇の歯の隙間からシリンジを差し込み、少しずつ流動食を口の中に入れてあげます。

シリンジ以外にも、吸い口やプラスチック製のドレッシング容器などもお勧めです。最近では給与用シリンジも市販されています。

頭を支える筋肉も衰えてくるので、食べやすい姿勢になるようサポートしてあげることが必要です。
お座りができる場合は頭を下げなくても食べられるようにお皿を台の上に載せてあげます。

寝たきりの状態でも支えればふせができるのであれば、飼い主さまが正座をして足にはさんであげましょう。むずかしければ膝枕をするなど頭を少し高くします。

【排尿や排泄の介護】

自然に排尿や排泄できれば良いのですが、体や内臓の筋肉の衰えにより、中腰の姿勢がうまく取れなかったり、おもらしをしてしまうことがあります。

【排尿や排泄の時にふらつく・中腰の姿勢がうまく取れない時】
腰を支えておしっこやうんちの姿勢の補助をしてあげましょう。
足回りやお腹が汚れてしまうことも多いので、こまめに拭いて清潔にすることも大切です。
水がいらないドライシャンプーなどで拭き取ってあげると良いでしょう。

【おもらしをしてしまう】
おむつの使用をおすすめします。犬専用の紙おむつもありますし、人の赤ちゃん用の紙おむつにしっぽを出す穴をあけ、テープが背側にくるようにして使うこともできます。

【自然に排尿や排泄することができない】
膀胱におしっこがたまっているのにでないときは、下腹部の膀胱のあるところをやさしく両手で挟んでおしり側に押し、圧迫排尿します。

便秘の場合、仰向けに寝かせておなかに「の」の字を書くようにマッサージしたり、オリーブオイルをつけた綿棒を肛門に少し入れて小さくまわしたりして排便を促しましょう。

はじめての場合は動物病院で指導してもらうのが良いでしょう。

【寝たきり】
体の下に大きいペットシート、さらに腰の辺りに小さめのペットシートを敷いておくと交換の際に便利です。排尿や排泄をしたら、赤ちゃん用のおしりふきやドライシャンプーを使って体をきれいにふき、シートを交換してあげましょう。

【介護中のシャンプー】

老犬になると、排尿や排泄で体を汚しがちになるのでこまめなお手入れが必要です。

若いころと比べて体力も落ち疲れやすくなっているため、シャンプーは暖かい日・暖かい時間帯を選び、人に手助けしてもらいながら手短に済ませましょう。
シャンプーする際は洗面器などにあらかじめシャンプー液を入れ、お湯で泡立てておくと良いでしょう。

また、吸水性の高いタオルを使用することで拭き取りもスムーズに行えます。

転倒防止の工夫もしたいものです。浴室の床には、ヨガマットやバスタオルなどを敷いてすべらないようにしましょう。

寝たきりや立てない犬の場合は、水がいらないシャンプーや蒸しタオルで体を拭いてあげましょう。拭くだけでは汚れが落としきれない時には、部分浴を行います。その際、レンガなどを置いて傾斜をつけたスノコを敷いて洗うと、体全体を濡らさずに済みます。

【歩行の介護】

老犬になると積極的に運動をさせるよう心がけていないと急に筋肉がやせ細ってしまいます。そうなると、さらに歩くことを嫌がるようになり、自分で立ち上がることすらできなくなって寝たきりになるのを早めてしまいます。

疲れやすくなり、距離が短くなってきても、お散歩はさせるようにしてあげましょう。

歩くときにふらふらしてしまう場合、下半身が弱っていることが考えられます。ハーネスやウォーキングベルトを使って腰を支えてあげます。

飼い主様の負担が大きくなってきたり、支えるだけでは歩けないといった場合、車椅子を使用することも考えられます。

また、運動の前に足のストレッチやマッサージをしてあげると、体を動かしやすくなります。

老犬の運動」のページにも
詳しい説明がありますのでそちらも是非参照してください。

【床ずれの介護】

寝たきりになってしまった場合、気をつけたいのが床ずれ。

長時間同じ姿勢で寝ていると体の一部分だけが圧迫されて血流が悪くなってしまい、皮膚や筋肉の壊死をおこすことで生じます。

また、排尿や排泄で皮膚が汚れ、ただれることも原因となることがあります。
予防のため、こまめに寝返りをうたせ、姿勢をかえてあげます。
ベットを柔らかいものにすることも大切です。数枚の梱包用気泡シートと毛布を重ねるなど、家にあるもので工夫することもできます。

最近では老犬介護用に低反発素材を使った床ずれ防止マットも市販されています。ドーナツクッションなどを用いて、患部を床から離すことも大切です。

床ずれはとても進行が速く、あっという間に悪化してしまいます。寝返りを打たせる時など、こまめに体をチェックしてあげましょう。

床ずれができてしまった場合、できるだけ早く獣医師の治療を受けるようにしてください。

老犬の床ずれ」のページに詳しい説明がありますので参考にしてください。

【認知症・痴呆による夜鳴き・徘徊・昼夜逆転の介護】

老犬の夜鳴き、徘徊、昼夜逆転などはいわゆる認知症や痴呆の場合が多いと考えられます。認知症・痴呆は13歳を過ぎたころから発症が見られます。加齢によるものの他、脳血管障害、栄養代謝障害、ストレスなどが原因となっておこることもあります。

【夜鳴き】
夜鳴きの原因は老犬によって様々ですが、昼夜逆転によっておこることが多いようです。
体内時計をリセットするため、お日様を浴びる、飼い主様が声をかけてなでてあげるなどの楽しい刺激を日中に与えるようにしましょう。

また、東洋医学(中医学)では、下半身の活動が衰えることで気が上半身に集まってしまうことも夜鳴きの原因とされています。脚をストレッチやマッサージで動かしたり、頭からおしりに向けて背中をなでおろしてあげたりして、気のめぐりをよくしてあげましょう。

【徘徊】
家具と家具の隙間をクッションや段ボールなどで埋める、家具の角を覆うなど、怪我をしない工夫が
必要となります。お留守番をさせたり、目を離さなければならない時には、ベビサークルの中にバスマットを つなげて円形のサークルをつくって入れてあげるとよいでしょう。

ただし、1日中閉じ込められていたのではストレスが溜まってしまうので、なるべく短時間にとどめるように します。

【異常な食欲】
満腹中枢や記憶力が衰えることによって、ひっきりなしにご飯を食べたがることがあります。
トータルで1日量が変わらないよう気を付けて、ごく少量づつ、こまめにご飯をあげたり、低カロリーのおやつを利用するなどして対応しましょう。

認知症・痴呆は根本的な原因がわかっていないので、発症してしまったらそれぞれの症状に対応していくしかありません。たくさん話しかけたり、スキンシップをとるようにする、散歩の時に他の犬と接する機会をふやすなど、刺激を与えてことで予防を心がけるようにしましょう。

また、DHAやEPAといったサプリの利用も効果があるようです。

老犬の栄養補助」のページでは 詳しくまとめてありますので是非こちらも参照してください。

幸せ老犬ライフチェック

老犬にとってなによりも必要なのは、飼い主さんの笑顔です。
老犬介護に行きづまり、負担に感じることがあったら、自分ひとりで抱え込まずに獣医師やご家族に相談しましょう。

無理をせず、愛犬と過ごす時間を楽しむことが介護の一番のコツとなります。

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