シニア犬・老犬の手作りご飯

ご飯は愛犬にとって大きな楽しみの一つですが、加齢とともに散歩や遊びの時間が少なくなってしまう分、シニア犬や老犬では期待はさらに大きなものとなってきます。 その期待に応えるためにも、愛情たっぷりの手づくりごはんに挑戦してみてはいかがでしょうか。
(キュティア老犬クリニック 獣医師 横山恵理

手作りご飯のメリット

シニア犬・老犬になると、運動量とともに筋肉も減少してしまうため、代謝量も減ってしまって今までと同じ量のご飯をあげていても太りがちになってきます。

そこでただカロリーだけに着目してしまうと、ご飯を減らすことで筋肉量が減少してしまい、さらに代謝が低下・・・ということが起こりがちです。そういった悪循環に陥らない為にはごはんの「質」に着目することが大切になってきます。

犬は「肉食寄りの雑食」であるため、人間と比べるとより多くの動物性たんぱく質を必要とします。しかし、市販されているドックフードは、含有たんぱくの大部分を植物性たんぱく質が占めています。筋肉量の維持・増量の為には、動物性たんぱく質をより多く摂取できる手作りご飯のほうが望ましいといえるでしょう。

また、代謝とともに衰えてくる腎臓の機能を補うため、水分を積極的にとることも大切です。手づくりごはんはドライフードとくらべて水分量が格段に多いので、無理にお水を飲ませなくても、食事とともに水分摂取量を調整することができるメリットがあります。

まずはトッピングご飯にチャレンジしてみては

いきなりすべてを手作りご飯にかえるのは、飼い主さんにとってハードルが高くなるだけでなく、愛犬の体にとっても負担になってしまう可能性があります。

そこで、ドックフードの量を少し減らして茹でたお肉や野菜をトッピングしてみましょう。

カリカリのドッグフードはいつもの2/3くらいにします。そこに料理につかうお肉・お魚・お野菜などを少しとりわけ、さっと茹でればいいです。栄養がたっぷり含まれている茹で汁も捨てずにかけてあげましょう。

トッピングの場合、肉の量は体重5kgあたりで1日30g程度を目安にしましょう。お野菜はキャベツなら手のひらの大きさ一枚で良いでしょう。

手作りご飯を作ってみましょう!

トッピングご飯が楽しく続けられるようでしたら、いよいよ手作りご飯に挑戦です。

愛犬が1日に必要とする動物性食品(肉・魚・卵)は体重5kgあたり70g~100gというのが目安になります。 ご飯全体では60~70%を動物性食品とし、30~40%が野菜、穀類は10%以下となるのが望ましいです。

上記の量はあくまでも目安です。2~3週間ごとに体重や被毛の状態をチェックし、愛犬にとって最適な量をアレンジしてあげましょう。
毎日きっちりと分量を守る必要はありません。人間と同じで、「今日はめんどくさいから卵かけご飯にしちゃえ」なんて日があっても大丈夫!1週間程度をまとめて考えて、全体でバランスがとれていれば問題ないでしょう。

特に野菜や穀類に関しては、人間用のご飯を味付けする前に取り分けたり、調理の際の切れ端を用いたりすれば手間も省けます。また毎日色々な食材を摂取できるので栄養が偏ってしまうのを防ぐこともできます。
それでもやっぱり手作りだとカルシウムやビタミン、ミネラル等が不足してしまいそうで不安であれば、サプリメントをうまく活用してあげるのもよいでしょう。

筆者の愛犬に作った時の手作りご飯の一例をご紹介します。材料はすべて人のごはん用につかった残りや切れ端です。

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【ポーク】
ポークはビタミンも多く含んでいるので特にシニア犬にはおすすめです

【白菜の芯】
根っこに近いところでややもするとカットして捨ててしまいそうな部分

【にんじんの切れ端】
お弁当用に内側をくりぬいた残りの外側部分

【わさび菜の根っこ】
調理用に使った残り根っこ部分

【ナスのへたの部分】
へたを取ったあとの料理では切り捨ててしまうような白い部分

【ダシ昆布】
煮物用のダシ汁を作るときに使った昆布
(写真では下にかくれてしまっています)

材料はそのときそのときによってさまざまです。野菜は2~4色くらいをめどに入れてあげるようにしましょう。

作り方はとっても簡単

【ステップ 1】
写真のボールの中の材料を沸騰したお湯の中に入れゆでます。野菜はゆでることで消化しやすくなりますので、シニア犬の胃腸への負担を和らげてくれます

【ステップ 2】
ゆで上がった材料をそのままフードプロセッサーに入れて適度にまぜます

【ステップ 3】
フードプロセッサーから材料をいれていたボールに移します

【ステップ 4】
お味噌汁のおダシに使ったカツオ節の出しがらがあれば入れて一緒にまぜればできあがりです

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多めに作った時は、ジップ袋などにいれて冷凍しておくとよいでしょう。

いろいろなバリエーションにチャレンジ

手作りご飯というと「茹でる」というイメージが強いですが、チャーハンなどの炒め物を喜ぶ愛犬も多いです。少量でしたら調理油を使っても大丈夫ですし、特にごま油の香りは人間同様、愛犬にとっても食欲をそそるようです。

また、炭水化物にはご飯だけでなく、うどんやパスタもおすすめです。基本的には短く刻んで与えますが、なかには、長いままちゅるちゅると上手にすすって食べてしまう子もいるようです。


処方食を食べていても大丈夫?

人間と同様、年をとると持病も増え、病院から指定された処方食を食べているシニア犬や老犬も多いです。

そういった場合でも、例えば膀胱結石でしたら水分量を増やしたり、動物性食品の種類を考慮したりすることができます。腎臓病でしたら牛肉や卵白などリン含有量の少ない良質なたんぱく質を使用することで対応することが可能です。

キュティア老犬クリニックではワンちゃんの体調を確認し、ご飯のご相談にも積極的に応じています。


愛犬にとって危険なたべものもあります

人間には問題がなくても、愛犬にとっては毒になってしまう食材もありますので手作りの際には注意が必要です。飼い主さんも愛犬もせっかくの手作りご飯が台無しになってしまってはガッカリです。

あげてはいけない食材

【ネギ類】
アリルプロピルジスルファイドという成分が赤血球を破壊するため貧血を起こしてしまいます

【チョコレート】
テオブロミンという成分が貧血を起こしてしまいます

【キシリトール】
低血糖を引き起こしてしまいます

【あわび・サザエ】
特に3月から5月は毒性が強く、光過敏症の原因となります

注意をしたほうがよい食材

【ブドウ】
原因物質や機序は解明されていないのですが、まれに中毒を起こしてしまうことがあります。 あげるのは避けておいたほうがいいかもしれません

【青魚】
DHAなどの栄養が豊富で良質なタンパク源となります。しかし毎日青魚ばかりというようなことが続くと「黄色脂肪症」という病気の原因となってしまいます。週に1・2回に留めておいたほうがよいでしょう

【タコ・イカ・貝】
生であげるとうまく消化できずにお腹を壊してしまうこともあります。小さく切ってしっかり加熱して与えるようにしましょう

【パン】
砂糖や塩、バター等が含まれるので、愛犬に与えるのはあまりお勧めしません

【アボカド】
大量に摂取すると、ペルジンという成分が下痢や嘔吐の原因になります

【加熱した骨】
噛み砕くと先がとがってしまうので消化器を傷つける恐れがあります。鶏の骨でも生であれば問題はありません

幸せシニア犬・老犬ライフチェック

手作りご飯にかえたからといって毎日きっちり作らなきゃ!と気負う必要はありません。2・3日分まとめて作り置きしておいて、あげる前にちょっと温めてあげたり、忙しい朝はドライフードで済ましてしまったり、と、飼い主さんにとって楽しく続けられるやり方を、愛犬と一緒に探してみてくださいね。

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